イスラエル総選挙、ネタニヤフ首相とアイゼンコット氏の勢力が争う
有権者は730万人超。正午までの投票率は31%を超えたが、現地午後3時の時点で公式結果も政権の行方も出ていない。

イスラエルでは10月27日、国会(クネセト)の定数120議席を選ぶ総選挙の投票が行われている。2023年10月7日の襲撃と、その後に続いた戦争以来、初めての国政選挙だ。有権者は730万人を超える。ベンヤミン・ネタニヤフ首相を支える与党勢力に、元軍参謀総長のガディ・アイゼンコット氏ら野党勢力が挑む。現地時間午後3時の時点で投票所は開いており、勝利した政党や連立勢力を判断できる公式結果はまだ出ていない。
有権者は首相を別の投票用紙で直接選ぶわけではない。政党の名簿に投票し、得票率が基準を超えた政党に比例して議席が配分される。その後、各党が過半数の61議席以上を確保するために協議する。最多得票の政党が必ず政権を担うとは限らない。イスラエルの報道や欧州議会の分析によれば、投票前の世論調査では主要な勢力のいずれも過半数を確実にしていなかった。これは事前調査であり、開票結果ではない。
戦争を経た初の国政選挙
投票は、国の安全保障と政治を大きく変えた時期の後に行われる。2023年10月にイスラエル南部で起きたハマス主導の襲撃は、ガザでの戦争や地域全体の衝突につながった。人的被害、人質の行方、軍事作戦、諸外国との関係は、有権者が政府を評価する材料となっている。徴兵制度、宗教政党の役割、長年の政治的分断で揺らいだ制度への信頼といった国内課題も重い。
ネタニヤフ氏は右派政党リクードを率い、宗教政党などと連立政権を組む。一方、アイゼンコット氏は中道政党ヤシャルの党首だ。ただし、野党は一つの名簿にまとまっているわけではない。ナフタリ・ベネット氏、ヤイル・ラピド氏、アビグドール・リーベルマン氏、ヤイル・ゴラン氏らも、それぞれ異なる政策や支持基盤を持つ。首相の交代を望む点で一致していても、共通の政権構想や次の首相候補で合意できるとは限らない。
欧州議会は、多くの政党が得票率3.25%の議席獲得基準を超えようとしていると指摘する。小政党が基準に届くかどうかで、議席配分も連立の計算も大きく変わり得る。わずかに届かなければ、その政党に議席は与えられない。政権づくりでは、リクードとヤシャルの得票差以上に最終的な議席数の組み合わせが決め手になる可能性がある。
イスラエルのアラブ系市民を代表する政党も鍵を握る。有権者の投票率と獲得議席によっては、ネタニヤフ氏に代わる政権の可能性が変わる。ただし、それらの政党が必ず閣内に入るという意味ではない。閣外から首相指名を支えたり、投票を棄権したりする選択肢もある。主要政党の指導者は一部の協力関係に難色を示しており、政権の形は開票後の判断に左右される。
今夜分かること、まだ分からないこと
大半の投票所は午前7時に開き、現地時間午後10時に閉まる予定だ。中央選挙委員会によると、正午までの投票率は31%を超えた。この数字が示すのは投票に行った人の割合であり、特定政党への支持率ではない。有権者は政党の投票用紙を封筒に入れる。投票所が閉まると、テレビ局は出口調査を公表する見通しだ。勢力の大まかな見通しにはなるが、公式結果ではなく、実際の開票で変わり得る。
投票を管理し、公式の数字を発表するのは中央選挙委員会だ。すべての結果がそろうまで数日かかる可能性がある。議席配分が判明しても、次の首相がすぐに決まるとは限らない。イツハク・ヘルツォグ大統領は各党と協議し、組閣できる可能性が最も高いと判断した人物に政権づくりを委ねる。指名された人物は支持を取り付け、国会で必要な信任を得なければならない。
この過程では比較的小さな政党が決定的な役割を果たすこともある。過半数に足りない議席を補う代わりに、政策上の約束や閣僚ポストを求められるためだ。交渉がまとまらない可能性もあり、誰も多数派をつくれなければ協議が長引き、再選挙に至る場合もある。投票前の調査は接戦を示していたが、どの道筋になるかは決められない。
結論を急げない一日
選挙戦では「継続か変化か」という対立が強調される。しかし制度上の決着は、テレビに映る一つの数字より複雑だ。投票率、議席獲得基準を超える政党、各勢力の議席数、指導者が受け入れられる連立条件を見なければならない。ある政党が得票で先行しても、党首の首相就任が自動的に決まるわけではない。
次の政権はガザ、地域の安全保障、米国や欧州との関係について判断を迫られるため、国外からの関心も高い。ただし、その先の政策を選挙公約や世論調査の予測と混同することはできない。27日午後3時のイスラエルでは投票が続いていた。最初の情勢判断が出るのは投票所の閉鎖後で、政権発足にはさらに国会での連立協議が必要となる。



