防災庁が発足 災害への備えから復旧・復興まで調整
定員352人の新組織が巨大地震への備えと被災地への支援を担う。

政府は2日、災害への事前の備えから発災時の対応、復旧・復興までを一体的に担う防災庁を発足させた。大地震などに備え、被災した地域への支援を強化する。
防災庁は内閣直属の組織で、職員の定員は352人。首相が組織の長を務め、初代防災大臣には細野豪志氏が就任した。従来の内閣府の防災担当部門が担ってきた機能を拡充、再編する。
日本は地震や津波、火山噴火、台風、洪水などにさらされている。政府が想定する大規模災害には、南海トラフ巨大地震や首都直下地震がある。こうしたリスクへの備えは、特定の地震がいつ発生するかを予測できるという意味ではない。
フジニュースネットワークによると、細野氏は2日の会見で、住民に対し、いざという時のために水や食料、携帯トイレなどを1週間分備蓄するよう求めた。道路やライフラインが途絶え、支援が届くまで時間がかかる可能性のある発災直後の数日間に、各家庭の備えを手厚くする狙いがある。
事前の備えから復興まで
防災庁の役割は、災害後に支援物資の輸送を調整することにとどまらない。設置法に基づき、政策の企画立案や国の他機関との調整を行い、行政が一体となって対応できるようにする。
建設通信新聞によると、防災庁は他の省庁に勧告でき、勧告を受けた側にはそれを尊重する義務がある。災害リスクを減らす目標の進捗を確認し、各地域の弱点の分析に基づく計画づくりも進める。
災害時には被災した自治体のニーズを把握し、関係省庁との対応を調整する。被害を受けた自治体が支援の内容ごとに別々の窓口とやり取りしなくても、必要なことを伝えられる体制を目指す。
発災直後は特に連携が欠かせない。道路が通れなくなれば、燃料や水、医療従事者の到着を妨げる。小さな自治体では被害の全容を把握し終える前に支援が必要になる場合もある。避難や住民への直接支援で中心的な役割を担う都道府県・市町村との協力が求められる。
能登の教訓
防災庁の構想は数年をかけて準備されてきた。政府の防災白書によると、2024年11月に設置準備室が発足。政府は機関間の連携強化と、同年の能登半島地震から得た教訓を生かす必要性を挙げていた。
白書は、避難所での生活環境のうち、トイレや食事、ベッド、入浴設備などの課題も指摘している。政府は必要な物資やサービスを速やかに届けられるよう官民の連携を強め、被災地の情報収集を迅速化する方針を示していた。
最初の警報が解除されても、困難は終わらない。家を離れた人たちは長期間、医療や生活サービス、日常を取り戻すための支援を必要とする場合がある。道路やライフラインの復旧も、住民の帰還や地域経済の回復を左右する。
新しい組織は、こうした後の段階も視野に入れる。建設通信新聞によると、災害後の被災自治体の復旧・復興状況を追い、関係省庁との間で必要な支援を調整する。
人員と地方拠点
人員増強の背景には、従来の組織で指摘されてきた問題がある。災害が起きると、政策の立案を担う職員もその業務を中断し、緊急対応に当たらざるを得ないことがあった。時事通信によると、防災庁の定員は352人となる。
ただ、組織の規模だけで、複数の地域が同時に被災する事態への対応が決まるわけではない。業務の分担や職員の経験、自治体や他省庁との協力も対応力を左右する。
政府は、南海トラフや日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震が想定される地域での事前防災や支援を強化するため、地方拠点の設置も検討している。時事通信によると、設置場所は2027年夏に決める方針で、拠点はまだ準備段階にある。
防災に携わる人材の研修・研究を担う機関の設置も検討されている。構想は引き続き検討中で、学校がすでに開設されたわけではなく、運用開始時期も確定していない。
防災庁は、複数の機関にまたがる予防、応急対応、復旧・復興を一つの司令塔の下で調整する。次の災害が起きる前から、連携を具体的で継続的な備えにつなげられるかが問われる。