Razón y Saber
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欧州の天然ガス価格が97ユーロに迫る 冬を前に備蓄の少なさが懸念

指標のTTF先物が2022年以来の水準に上昇。EUの貯蔵施設の充填率は約74.6%だが、家庭料金への影響は直ちには現れない。

欧州の天然ガス卸売価格が26日、2022年以来の水準まで上昇した。指標となるオランダのTTF先物は午前の取引で1メガワット時当たり97ユーロに迫り、英国で翌月受け渡しとなる契約も1サーム当たり240ペンスに達した。寒さが近づくなか、欧州のガス貯蔵量はこの時期としては少なく、ペルシャ湾地域からの液化天然ガス(LNG)の輸送にも制約が続いている。卸売価格がそのまま今日の家庭の料金になるわけではないが、高値が続けば将来の請求額に影響する可能性がある。

97ユーロは取引時間中に観測された卸売価格であり、家庭向け料金でも、この日の終値でもない。別の市場報道では、早い時間帯の高値を95.73ユーロとした。観測時点や対象契約が異なれば数値も変わる。午前の相場はおおむね96~97ユーロで推移した。TTFは欧州各国の取引の基準となる一方、家計への影響は規制、事業者の事前調達、税金、料金改定の時期によって異なる。

冬を前に小さくなる備蓄の余裕

Gas Infrastructure Europeが26日までに公表したデータによると、欧州連合(EU)の地下ガス貯蔵施設は容量の約74.6%が満たされていた。この比率は設備の充填率であり、冬の需要の74.6%を賄えるという意味ではない。欧州にはパイプライン、自域内の生産、LNG運搬船からもガスが供給される。それでも備蓄が少なければ、寒波や長期の供給障害に対応する余裕は小さくなる。

備蓄率は季節を踏まえて評価する必要がある。春の終わりには十分に見える水準でも、暖房需要が始まる時期には心もとないことがある。エネルギー分野の報道は、現在の貯蔵率がこの時期の過去5年平均を下回ると伝えた。地域の戦争と航行制限によりカタールからのLNG貨物が減り、欧州は代替の供給を求めている。アジアも同じLNG市場から購入しており、双方の需要が貨物価格に影響し得る。

地政学的な不確実性も価格を押し上げる要因となる。米国、イスラエル、イランの間で緊張がさらに高まる可能性を指摘する報道は原油相場にも影響した。ただし、これは今回すでに新たな攻撃が起きたという意味ではない。北海ブレント原油は26日、直前の上昇局面から下がっていた。ガスと原油は別の市場であり、共通の供給懸念で動くことはあっても、一方の値動きがもう一方を自動的に決めるわけではない。

家庭の料金にどう響くか

英国の翌月受け渡しのガス卸売契約は約4%上昇し、1サーム当たり240ペンスとなった。26日に公表された市場情報によるものだ。家庭の料金への影響は、誰にとっても即座に、同じ幅で現れるわけではない。供給会社は先々のガスを購入し、規制当局も独自の日程で価格上限を見直す。英国メディアが引用した予測には、1月の料金上昇を見込むものがある。ただし、その後の相場次第で変わる予測であり、すでに決まった料金改定ではない。

EU全体に共通する家庭向け料金も存在しない。スペイン、ドイツ、フランスでは契約、税制、家計保護の仕組みが異なる。卸売価格の上昇が続けば、まず調達費やエネルギーを多く使う産業に影響し、その後、国ごとの制度に応じて電気代や暖房費に波及し得る。現在の相場は経済への警戒材料だが、全家庭の請求額が同じように上がることを示すものではない。

企業にとっては、主要な投入資源の価格が急変するなかで生産計画を立てる難しさがある。ガス高が続けば、肥料、化学、ガラスなどの企業の利益率は圧迫されかねない。ただ、午前中の値動きだけから工場閉鎖や雇用減を計算することはできない。影響は高値の継続期間や各社の購入契約に左右される。

2022年との比較は価格水準についてであり、当時のエネルギー危機が必ず繰り返されるという予測ではない。ロシアによるウクライナ侵攻後、欧州は供給源や消費のあり方、危機への対応策を変えてきた。一方で、例年より低い備蓄率と国際LNG市場への依存という弱点も抱える。冬の気温、実際に到着するLNG貨物、パイプラインからの供給、需要をどこまで抑えられるかが今後を左右する。

今後数週間はTTFの価格だけでなく、貯蔵施設への出入り、実際に届く貨物、卸売価格の高止まりがどれほど続くかを見る必要がある。上昇が短期で収まれば、家計への負担は一日の相場から想像するほど大きくならないかもしれない。寒い時期まで高値が続くなら、政府と規制当局には家庭や産業への影響がいつ、どのように及ぶのかを明確に説明することが求められる。